Optica会長としての最初のメッセージで、会員の皆様にご挨拶できることを嬉しく思います。本学会の2022年度の会長である河田聡氏には、成長と進化を遂げた一年間につきまして感謝しますとともに、お祝いの言葉を申し上げたいと思います。
来年度に目を向けると、基礎科学と大胆な新しい応用の両方において光学とフォトニクスを前進させる大きな機会があることに感銘を受けます。本学会の健全性と持続可能性を維持しつつこれらの機会を前進させるためには、Opticaはどのように会員の皆様を支援すればよいのでしょうか。課題は多々ありますが、来年度は私が特に重要であると考えている三つの領域に集中したいと考えております。
一つ目の領域は、科学コミュニケーションを促進させる上でOpticaにとって重要なチャネルである会議や学会です。パンデミックが発生して以来、会議に対する私たちのコミュニティの期待は驚くような形で進化してきました。会議を「オンラインに移行」させることに対するコメントを含め、2020年初頭に私が書き留めたメモを読み返してみると、ナイーブとまで言えるような印象を受けます。今では、いわゆるハイブリッド型の会議の運営方法や、科学的な発想の交換やプロフェッショナルとしてのネットワーキングを行う場としてのそれらの利点や難点について、遥かに豊富な経験を積んでいます。
それでも、様々な会議の形式を対面、ハイブリッド、オンライン限定などから選ぶ方法、それぞれの形式における登壇者のニーズや経験、そして変化し続ける状況に関するその他の側面について理解しなければならないことがまだまだ沢山あります。これは、私たちが模範を示さねばならない領域だと考えており、そのための取り組みを主導することを楽しみにしています。
これに関連する二つ目の優先事項が、国際的でインクルーシブな学会であることを目指して私たちが継続している取り組みです。私にとって、国際化は同時に二つの意義を持っています。一つはOpticaによる学術誌、学会、およびその他の活動における国際的なオーディエンスのニーズに対応するための取り組みです。(これに伴い、本号からは、OPNに毎月寄稿しているこれらのメッセージを英語に加えて五つの言語でお届けする運びとなりました)。しかし、国際化は、国際的に多様な視点がもたらす恩恵を誰もが享受できるようにすることで、科学と開発に向けた素晴らしい推進力も提供してくれます。
三つ目の、そして私が2023年に集中したい優先事項の中でも最も難しいと思われるものが、科学への信頼が強まりつつある脅威に晒されている現状を踏まえた、科学や科学的な証拠に対する信頼の構築と拡大です。この脅威は引用数指標に反映される証拠がキャリアを左右している科学コミュニティの中でさえも散見され、それ自体が「ゲーム化」されてしまっていることがあります。コミュニケーションやコラボレーションを促進させる新たなプラットフォームやメカニズムを通じて科学とその方法や指標に対する信頼を定義し強めていくことは、私たちが克服しなければならない課題であるように思います。
来年は、これらやその他の優先事項に関する考えや進捗と、変化に向けてOpticaがどのように前向きな力として役割を果たすことができるのか、この紙面を用いてお伝えできることを楽しみにしています。
ミハル・リプソン(Michal Lipson)
Optica会長